
1よくあるつまずき
議事録を頼まれ、発言を時系列で全部書き起こす。読み返すと長いだけで、何が決まったのかがわからない。
上司に「打ち合わせ、どうだった?」と聞かれ、「えっと、まず先方から〜という話があって」と経緯から話し始めてしまう。
どちらも、情報は十分に持っています。足りないのは「要するに何か」を決める一手間です。
2考え方
要約は、短くすることではない
要約というと、文章を削って短くする作業だと思われがちです。けれど、削るだけでは要点は残りません。大事なのは、たくさんの発言の中から「つまり何が重要なのか」を選び取ることです。VASEメソッドでは、これを抽象化する力と呼んでいます。
一文にするための型
会議の要点は、次の型に当てはめると一文にまとまります。
- 決まったとき:「〇〇について、△△することになった。理由は□□」
- 決まらなかったとき:「〇〇について、△△と××の2案があり、□□を確認してから決める」
どちらの型にも入らない場合は、会議で何も決まっていないか、自分が論点をつかめていないかのどちらかです。それに気づけること自体に意味があります。
先に一文、詳細はあとから
報告では、一文を最初に言い、詳細はそのあとに続けます。聞き手は最初の一文で全体をつかみ、その先を聞くかどうかを自分で判断できます。
3演習
所要時間の目安:5分
次の会議メモを読み、型に沿って「要するに何か」を一文で書いてください。
- 営業課長:来期の展示会、出展料が昨年から3割上がった
- 企画担当:昨年の展示会がきっかけの商談は12件、受注は2件
- 営業部長:オンラインセミナーの方が費用対効果はよさそうだ
- 企画担当:ただ、新規の大手企業と直接会えるのは展示会くらい
- 営業部長:では出展は続ける。ただしブースを小さくして、費用を昨年並みに抑える案を企画で出してほしい
- 次回の会議は2週間後
解答例と解説を見る
解答例です。
来期の展示会は出展を続けることになった。ただし費用を昨年並みに抑えるため、ブースを縮小した案を企画が2週間後までに出す。
解説
メモには、出展料の値上がり、昨年の成果、オンラインセミナーとの比較など、判断の材料がたくさん並んでいます。けれど、上司が最初に知りたいのは「結論」と「次に誰が何をするか」です。材料は、聞かれたときに答えれば足ります。
よくある解答に「展示会の費用対効果について議論した」があります。これは何を話したかの説明で、要点ではありません。「議論した」「検討した」で終わる一文は、もう一段まとめる余地があるサインです。
4今日から試す実践ポイント
- 会議の最後の5分で、「今日の結論を一文で言うと」と自分から口に出してみる
- 議事録の冒頭に型に沿った一文を置き、詳細はその下に書く
- 上司への報告は、経緯ではなく一文から話し始める
- 一文にまとまらなかったときは、何が決まっていないのかを書き出し、次回の議題にする
IN TRAINING
研修では、この先まで深めます
ここで取り組んだのは、「抽象化する力」を鍛える演習のひとつです。研修では、同じ考え方を使って、受講者の実際の仕事に近い形で練習を重ねます。
題材は、貴社の実務
実際の報告書や会議資料、顧客とのやりとりを題材にして演習します。明日からの仕事にそのまま持ち帰れます。
講師が一人ひとりにフィードバック
自分では気づきにくい言葉のクセを、その場で指摘し、言い直しながら身につけます。
VASE診断で変化を確かめる
研修の前後に64問の診断を行い、4つの力の変化を数値で確かめます。教育担当者の方には組織インサイトレポートをお渡しします。